松果体の石灰化でメラトニンが減る


メラトニンは脳内の真ん中あたりに位置する松果体という臓器から分泌されるホルモンです。メラトニンの分泌量は乳幼児期に最も多く、思春期を過ぎると加齢とともに徐々に減少します。加齢とともに減少するホルモンは決して珍しくないのですが、メラトニンは別格です。メラトニンも加齢とともに分泌量が減ります。ところが、メラトニンが減ってしまうことによって加齢が一段と進むという特徴があります。ですから、メラトニン減少を軽視すると老化の負のスパイラルに陥ってしまいやすいのです。もしメラトニンが20代や30代から少なくなってしまっているならば、その方は早期老化リスクに直面しているということです。実際に年齢が若い人たちの間でもメラトニン不足が起こっています。

なぜメラトニン不足になってしまうのか、その理由はメラトニンを作って分泌する松果体が関係します。

松果体の存在は2000年前古代ギリシャ時代に発見され、その重要性は語り継がれてきました。松果体はおでこの表面でかつて第3の目として光を感知していたものが、進化して脳内に収まった臓器です。メラトニンを分泌しながら体内時計として作用します。近年解明され注目される事実としては、メラトニンが体内時計以上の存在であって、アンチエイジング物質だということです。細胞を再生する幹細胞にも、アンチエイジングのホルモンバランスにも、腸の健康にも、脳の保護にも、エネルギー産生のためのミトコンドリアにも、メラトニンは主役級に役立っています。

ところがこの松果体はあいにく石灰化しやすいのです。松果体が石灰化すると、メラトニンが作られなくなります。ですから松果体の石灰化は、メラトニン量が減ってしまい、体内時計も崩れ、脳のエイジングにも影響を及ぼしてしまうのです。

臓器は石灰化したら元に戻らない

松果体の石灰化(カルシウムの結晶が沈着すること)のイメージは、柔らかい組織が石のようになってしまうことです。体の一部が石になったら元に戻せません。魔法瓶ポット内の壁にこびりついた部分は石灰化した結晶です。ポット内の結晶は定期的に削ったり掃除したり酸で溶かしたりしますね。体内では削り取る作業ができないので、例えば心臓、血管の壁に沿った石灰化は動脈硬化になって血液の流れが悪くなります。(ですから血管の炎症は放置するべきではないのです。)松果体のようなホルモンを産生する柔らかい臓器も老化に伴い、石灰化します。松果体が老化すると石灰化して、松果体が本来の機能を果たせなくなり、昼夜のサーカディアンリズムを保てなくなります。メラトニンを分泌しなくなり、全身の老化速度を左右します。老化速度が速いと、松果体が石灰化しやすくなり、一層老化が進行します。

メラトニンを分泌する松果体は、血液脳関門というフィルターに守られずむき出しになっています。血液脳関門とはバリア機能を持つ構造です。バリアに保護されていない松果体は、毒にさらされやすいので、石灰化しやすいということです。

例えばコロナ後遺症やコロナのワクチンは血管内の慢性炎症が持続して、松果体が石灰化しやすくなります。また、脳の酸欠状態も松果体の石灰化を進行させます。例えば高血圧や睡眠時無呼吸や肺気腫、喘息などの呼吸器系の基礎疾患があると、脳が酸欠になり、松果体は石灰化しやすくなります。

松果体の一部は第三脳室内にという場所に浮いている状態になっていて、外的因子に影響を受けやすいのです。頭部外傷(TBI)や脳卒中も松果体の石灰化を進めます。頭部外傷は交通事故や転倒と、総合格闘技やサッカーなどスポーツによるリスクも含みます。

松果体の石灰化はいったん起こってしまうと元に戻せません。石灰化した部分の松果体からメラトニンは分泌されません。ですから、メラトニン量を十分に確保したければ、外部からメラトニンを補充する方法が現実路線です。または、これ以上石灰化を進行させない工夫をします。一つの案としては松果体を再生するという幹細胞移植による再生医療です。松果体再生は確実で長期的視野に立つ発想ですが、費用が高いのでもっと手軽に実践できるメラトニン補充から見てみましょう。

松果体の位置
脳のバリア(血液脳関門)に保護されない解剖的な位置に存在する。
血液脳関門(BBB)とは? 
脳の主要な血管に備わっている「有害物質を通さないフィルター」のことで、要するに脳を守るバリアです。 松果体はこのバリアに守られていないので、血液中の有害物質や病原体が流入しやすく、炎症が起こり石灰化しやすくなります。

メラトニン補充療法

メラトニン補充は、睡眠障害・サーカディアンリズム障害(昼夜逆転)を改善します。体内のメラトニンの化学構造と完全一致のメラトニンを補充する、天然メラトニン補充療法は安全で有効な手段です。

不足分の補完: 松果体の機能低下で分泌されなくなった夜間の血中メラトニンを補い、脳へ「夜が来た」というシグナルを伝えます。

天然ホルモン補充療法としての位置づけ: 石灰を取り除いたり、石灰化を逆戻りさせることはできませんが、不足しているホルモンを補い、睡眠の質や生体リズムを改善することができます。

・医療機関で処方するメラトニン受容体作動薬(ロゼレム®)という製剤は不足した夜間の血中メラトニンを補い、生体リズムの調整や睡眠障害の改善を目指します。しかし、天然型メラトニン補充の場合は体内時計、睡眠改善だけでなくアンチエイジングの効果も得られます。

メラトニン補充療法の手順

投与のタイミング: 就寝の約1時間前に摂取することで、自然な夜間の分泌曲線を模倣し、睡眠への移行をスムーズにします。

  • 適切な用量の選択: 一般的に低用量(1mg〜3mg程度)から開始します。慢性炎症対策、免疫治療、癌予防、脳内の解毒システムの活性化や脳のアンチエイジング効果も取り入れたい場合、高容量にすることがあります。医師との相談が必要です。
  • 薬剤・サプリメントの種類:医師の管理下で天然ホルモン補充の一環としてメラトニン処方を受けるのが安全です。
  • 光との併用:昼間の強い光(太陽光など)の浴用と組み合わせることで、メラトニンを分泌し易くなり、また、メラトニン補充の効果を高めます。
  • 暗闇の利用:寝る時は真っ暗にします。光を浴びている最中はメラトニンが作用しません。パソコンやスマホなどの液晶の光も消します。アイマスクを着けてもいいです。

松果体石灰化予防

石灰化を進行させないように、予防をしましょう。キーワードは脳の酸欠、フッ素、リンです。

1. フッ素を取りすぎない

脳の奥にある松果体は、体の中で一番フッ素が溜まりやすい場所です。

フッ素が溜まるとカルシウムと結びつき、松果体が骨のように固まり機能が低下します。普段の生活で、フッ素を取りすぎないことが大切です。PFAS(ピーファス)などのフッ素化合物は松果体に影響を与えます。PFASは土壌汚染由来に飲食物から体内に侵入することがあります。水道水は浄水器を通しましょう。(フッ素化合物(PFOAとPFOS除去)と明記した浄水器)水道水は沸騰させてもフッ素化合物を飛ばせません。沸騰よりも浄水器です。また調理器具などのフッ素加工品は傷をつけたり空焚きしないなど留意して正しく扱う、など普段からできることは取り入れましょう。フッ素加工樹脂は油も水も撥ねる便利な物質ですので、身近にあります。例えば防水スプレー、雨具、フライパンなどですね。フライパンはお店で売っているから安全というわけではなくて、使い方次第ではフッ素コーティングが溶け出します。また、ハンバーガーやフライドポテトの包装紙のような油が滲みない包装紙もフッ素化合物が含まれます。空気中のフッ素化合物は空気清浄機を使って除去しましょう。日常生活でフッ素遮断を意識すると、松果体が石灰化しにくくなります。

2. 脳の「酸素不足」を防ぐ

松果体は、たくさんの血液と酸素を必要とする場所です。脳に酸素が充分に届かない状況になると、松果体も影響を受けます。

例えば、

  • 血管の炎症
  • 脳梗塞または脳出血
  • いびきや睡眠中の無呼吸(睡眠時無呼吸)
  • 脳の酸欠を起こしやすくする病気(例えばバベシア病*、動脈硬化など)
  • 一酸化中毒
  • 呼吸器の病気(例えば、重症の喘息、肺気腫、慢性気管支炎など)
  • 貧血
  • 甲状腺機能低下症
  • 心不全、動脈硬化、高血圧など

これらがあると脳が酸素不足になり、松果体の細胞がダメージを受けて固まりやすくなります。脳の酸欠の原因因子を治しながら、松果体に血流と酸素を届けることが松果体対策になります。松果体対策とは全身の最適健康状態を目指すということです。オゾン自己血治療を取り入れたり、全身慢性炎症の対策、血管壁の炎症対策(キレーションなど)、バベシア症、呼吸器系などの基礎疾患の治療も結果的に松果体を石灰化させにくくします。

*バベシア症とは?

赤血球内に寄生する原虫 赤血球に寄生して溶血を引き起こす病気です。赤血球の働きを弱めるので、酸素を運搬しにくくさせます。バベシア症が慢性化している場合、慢性的に全身の細胞に酸素が届きにくくなります。脳は特に酸素を大量に必要とする臓器なので、最も影響を受けます。

3. 食品添加物の「リン」を避ける

ジャンクフード、スナック菓子や加工食品によく使われる添加物(無機リン)を取りすぎると、松果体にカルシウムが沈着しやすくなります。無機リンは体内に吸収されやすい分、他のミネラルに悪い影響を与えます。例えば亜鉛不足やマグネシウム不足を起こしたり、骨からカルシウムが溶け出しやすくなります。松果体のためだけではなく、ジャンクフードはそもそもお勧めできませんね。

ジャンクフードを減らし、亜鉛やマグネシウムなどの栄養バランスを整えることで、カルシウムが結晶として間違った箇所で沈着することを予防しやすくなります。

終わりに

メラトニンはでしゃばらず、仕事ができて、人知れず夜中に働き、古代から人間の欲求に寄り添ってきた、アンチエイジング作用を持つホルモンです。「睡眠ホルモン」という狭い解釈を超えて、松果体〜幹細胞〜免疫系〜ミトコンドリア〜細胞老化〜脳の健康を調整します。松果体を石灰化させない対策を日常的に取り入れてみましょう。もしも、毒にあふれた現代社会の環境下で松果体の石灰化を免れない、というならば、睡眠中の暗闇を徹底したり天然型メラトニン補充を一考するのも良いでしょう。(補充の可否や適応については医師に相談することをお勧めします)

参考文献
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https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6017004/
松果体の萎縮や機能低下には、加齢による自然な変化から、現代特有の環境要因まで、複数の原因が重なり合っています。

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胸腺―松果体を軸として再定義。胸腺と松果体の繋がりを回復させることができるかどうかがアンチエイジングの鍵になる、という最新の知見。免疫細胞、幹細胞、抗炎症、細胞のリズムの相互関係に着眼しトレンドを押さえた研究。

Hardeland R. Aging, Melatonin, and the Pro- and Anti-Inflammatory Networks. Int J Mol Sci. 2019 Mar 11;20(5):1223. doi: 10.3390/ijms20051223. PMID: 30862067; PMCID: PMC6429360.
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アルツハイマー病とパーキンソン病の改善をもたらすメラトニン効果

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メラトニンはアンチエイジングホルモンであり、幹細胞の作用、分裂と複製、幹細胞生存のサポートを助けると結論づけている。

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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24132226/
メラトニンは卵巣と胎盤の両方で産生され、酸化ストレスの分子損傷や細胞機能障害から保護します。特に胎盤は、持続的な低酸素状態で大量のフリーラジカル生成と臓器機能障害が生じやすいのですが、メラトニンに保護される。妊娠中はメラトニンの生成を妨げる行動を控えメラトニンを産生しやすくすること。

Hablitz LM, Plá V, Giannetto M, Vinitsky HS, Stæger FF, Metcalfe T, Nguyen R, Benrais A, Nedergaard M. Circadian control of brain glymphatic and lymphatic fluid flow. Nat Commun. 2020 Sep 2;11(1):4411.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32879313/
脳内の老廃物除去システムが概日リズム(メラトニン)によってどのように制御されているか、その物理的なネットワークを明らかにしています。脳のクリーニング機能とメラトニンの関係についての最新知見(グリンファティックシステムと脳のデトックス)

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