コロナ後遺症とは
コロナ感染後、他疾患で説明がつかない、2ヶ月以上続く慢性の不調です。
2020年のコロナの症状が重篤だった初期から、徐々にウイルスが弱毒化しています。
コロナ禍に収束の兆しが見えてきた矢先、浮上してきたのが後遺症です。
英国の大規模スタディによると、コロナ後遺症は200種類の症状と10の臓器や器官が関わります。コロナ感染者の3分の1に何らかの後遺症が起こります。
全身の一般的な検査で異常がなくても、有症状でなかには生活に支障を来している人がいます。感染後も体調の異変が続く数が3分の1というのは相当な数です。
コロナ後遺症の主な症状
コロナ後遺症の主な症状はブレインフォグと疲労です。
他にも味覚嗅覚異常、動悸、咳、息切れなどの呼吸器症状、食欲不振、不眠、脱毛、POT(体位性頻脈症候群)、しびれ、全身、下痢、便秘、腹痛などさまざまな症状の報告があります。
特に多いブレインフォグの症状
特に多いのは、ブレインフォグをはじめとする脳の問題と疲労です。
ブレインフォグは文字通り頭にもやがかかったように集中できなくなり、気分の落ち込み、忘れっぽい、めまい、頭痛の症状です。
コロナ後遺症のうち、脳や神経には影響が及びやすく、睡眠障害、脳の萎縮、耳鳴り、急性壊死性脳症、脳炎、末梢神経障害、例えばギランバレー症候群やしびれなども指摘があります。
また後遺症として帯状疱疹の再発、クロイツフェルトヤコブ病、エブスタインバーウイルス発症(EBウイルス)もあります。
コロナ後遺症の検査と関連性
後遺症を疑い検査をしても何もみつからないことも多く、「関連性を否定はできない」とされます。
例えば心筋にスパイク蛋白が到達して炎症が起こったとしても、心臓のエコー、レントゲン、CT、心電図で異常が見つかりません。
しかし、2022年2月の研究を例に挙げると心臓MRI造影検査において、コロナ感染後も無症状の元来健康な運動能力の高い母集団に心筋の異常所見が見つかっています。
この若者たちが将来いつか心臓に負荷のかかる運動をしたときには心筋に影響が及ぶ可能性があります。
後遺症外来での検査で異常がなくても、早期の復帰や著明改善のためには、スパイク蛋白の侵入した箇所を狙い、全身に張り巡らされた血管の炎症を軽減し微小血栓対策を組み合わせたいところです。
コロナ後遺症の対策
コロナ後遺症については、コロナウイルスのスパイクタンパクの作用と特徴をふまえて対策を立てます。
なお、コロナに感染する以前からSIBOなど慢性の基礎疾患があるケースはコロナ後遺症を発症しやすいため、基礎疾患にも対処します。
コロナ後遺症と基礎疾患対策
原因治療や機能治療を行う医師たちも言及していますが、隠れた基礎疾患がある患者さんはコロナ後遺症を発症しやすいです。
例えば下記のような隠れた基礎疾患がある方は、コロナ後遺症になりやすいです。
- リーキーガット、SIBO(小腸細菌異常増殖症)
- dysbiosis(ディスバイオシス、腸内細菌叢の崩れた状態、腸内細菌叢の多様性がない状態)
- 遅延型食物アレルギー、リーキーブレイン(血液脳関門の構造が破綻している病態)
- 重金属の中毒
- 有機溶剤や化学物質の中毒
- カビ感染
- 消化管カンジダ感染
- ライム病の感染
- バルトネラ病
- バベシア病
- マイコプラズマ感染
- ヘリコバクターピロリ菌感染
- 自己免疫異常
これらの因子のために慢性疲労症候群や、線維筋痛症や化学物質過敏症など発症している場合もコロナ後遺症を発症する可能性があります。
すでに全身に持続性の炎症が起こっているからです。
ですから、全身の血管炎対策、脳の炎症対策、そして基礎疾患対策も行います。
基礎疾患がある場合、基礎疾患がない人に比べて何倍コロナ後遺症を発症しやすくなるのか、というまとまったデータはまだ揃っていません。
コロナのスパイク蛋白がACE2受容体からちょうど細胞に入ろうとするときにマスト細胞を活性化し炎症反応が始まり侵入による炎症を食い止めようとする免疫の力が働きます。
慢性炎症がすでに遷延している方の場合、そのゆとりはないので、悪化または免疫のタガが外れて帯状疱疹など再発してしまいます。
特にACE2受容体が多い組織、小腸や血管や卵巣や骨髄も影響を受けやすいです。
コロナ後遺症は初動を早めに、がポイントです。また、スパイク蛋白によって血管内皮細胞は必ず侵されるので血管炎対策を組み入れましょう。
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