アルミニウムの解毒

アルミニウム_ウェルネスクリニック神楽坂

アルミニウムは地殻中に酸素やケイ素に次いで3番目に豊富に存在する元素です。環境中の金属としては最多です。その量、鉄の2倍です。単体は銀白色の金属で、加工しやすく広く用いられています。

身近なアルミニウム

アルミニウムは、調理器具や食品、飲料水など、私たちの身近に存在する有害金属の一つです。近年の研究では、アルミニウムが神経系やその他の臓器に影響を及ぼし、健康リスクを増大させると示唆しています。この記事では、アルミニウムの健康への危険性や蓄積のメカニズム、医療レベルの解毒法と自分でできる解毒についてわかりやすく解説します。

【目次】

  1. アルミニウムの主な摂取源と蓄積メカニズム
  2. アルミニウムが人体に及ぼす健康リスク
  3. アルミニウム解毒(デトックス)方法:栄養療法や解毒治療
  4. まとめ

1. アルミニウムの主な摂取源と蓄積メカニズム

アルミニウムの主な天然源は岩石です。自然の風化プロセスと火山活動の結果、表層水、地下水、土壌に溜まります。酸性雨の影響で、大気にアルミニウムイオンが放出されます。土壌のアルミニウムは野菜、穀類、魚介類、水道水の汚染になります。
さらに、テクノロジー発展とともにアルミニウムが生活環境へ浸透しています。自動車や飛行機の材料、建設資材、包装材、電気機器、調理器具、加工食品、飲料水、化粧品、制汗剤、パーソナルケア製品、ワクチンや透析剤になど一部の医薬品などを通じて日常的に体内に取り込まれます。胃腸薬の多くもアルミニウムを含みます。
食品添加物では膨脹剤、色止め剤、形状安定剤、品質安定剤、着色料などに含まれています。具体的にはミョウバンやベーキングパウダーです。
アルミニウムはこれだけ身の回りに溢れています。私たちは息を吸う度、飲食の度にアルミニウムに暴露しています。

2.アルミニウムが人体に及ぼす健康リスク

これほどアルミニウムに囲まれていたら、体に取り込んでしまうだろうと誰しも思いつきますね。もしも体内のアルミニウムが身体から排出されなかったらどうなるのでしょう?

さまざまな経路から長期的・継続的に摂取されたアルミニウムは、特に神経組織や骨、臓器、免疫系の臓器(胸腺や脾臓)に蓄積します。
アルミニウムは蓄積した各箇所で有害に作用します。
実際どれだけ自分の体にアルミニウムが溜まっているのか、確認することも可能です。
体内のアルミニウムの蓄積量はオリゴスキャンという分光法の測定機器で手軽に調べます。手のひらを専用スキャナーでスキャンして、ミネラル21種と有害重金属16種の量についてそれぞれの物質特有のスペクトルを測ります。水銀や鉛などの有害金属の蓄積度も同時にわかります。また、ケイ素、マグネシウム、亜鉛など、アルミニウムに影響を受けやすい大事なミネラルの状態もわかります。体内の蓄積金属を測定する方法は他にもあります。アルミニウム濃度に関してはオリゴスキャンが正確です。

アルミニウムの脳への影響

アルミニウムがわずかでも脳に蓄積すると、神経系はダメージを受けます。脳はアルミニウムの毒性に特に敏感な臓器です。アルミニウムが脳に何をするかを見てみましょう。

  1. 脳への蓄積
    アルミニウムが脳に一旦侵入するとその後の自動排出が困難で、脳に蓄積します。脳内のアルミニウムが神経細胞とその周囲のグリア細胞に炎症を起こます。この炎症が脳全体で持続します。
  2. 酸化ストレスとROS(活性酸素種)の増加
    アルミニウムは活性酸素種(ROS)の生成を促進し、酸化ストレスを起こします。ミトコンドリアは細胞内のパワーハウス、細胞の原動力の工場です。脳の細胞は全身の臓器の中でもっともミトコンドリアをたくさん持っています。ミトコンドリアは脂質が多いので、酸化しやすい特徴があります。つまり脳はアルミニウムなどの金属が侵入してくると酸化します。脳が錆びてしまうということです。
    アルミニウムの蓄積のせいで脳に炎症が起こると、アミロイドベータという異常なタンパク質が集まります。これはアルツハイマー病になるリスクが高まるということです。
    最新のアルツハイマー薬のレカネバブ®はアミロイドベータを除去する作用があります。1年半点滴を続けて5ヶ月病気の進行を遅らせるという効果があり、注目されています。ただし、治療を中断すると元の状態に戻ります。レカネバブは脳出血などの副作用のため長期投与はできません。
    と、いうことは、アミロイドベータの元になるアルミニウムをなるべく脳に入れない、除去する、という根本的な視点も必要でしょう。
  3. DNA損傷とアポトーシスの促進
    アルミニウムはDNAの修復機能の邪魔をします。遺伝子の変異が起こっても修復されないまま異常な蛋白質が発生します。異常タンパク質のせいで炎症が起こります。それが神経の細胞死を起こして脳の萎縮や機能低下になります。
    アルミニウムの脳への影響は、脳の酸化ストレス、脳の炎症、パーキンソン病、アルツハイマー病などの神経変性疾患を発症しやすくなります。神経の細胞死(アポトーシス)が起こり、神経の再生がしにくくなり、脳の構造がもろくなります。

それではアルミニウムの脳以外の影響も見てみましょう。

アルミニウムは腎臓や骨組織、消化管にも蓄積します。骨代謝の変化や腎機能の低下など、全身的な健康リスクが懸念されます。

アルミニウムの骨への影響
  • アルミニウムは骨に約60%蓄積され、骨代謝に重大な影響を与えます。カルシウムやリンの代謝に影響を及ぼし、具体的には、以下のような骨や筋肉の問題が起こりやすくなります。
  • アルミニウムが骨、筋肉や神経筋接合部にも蓄積するので、骨密度への影響、筋力低下やけいれんといった症状が出ることがあります。アルミニウムが副甲状腺機能に影響を及ぼし骨代謝異常になることもあります。
  • けいれんや痙攣:アルミニウムによる神経筋接合部の異常が原因で、筋肉のけいれんが発生する場合があります。
  • 骨粗鬆症:アルミニウムが骨組織に蓄積すると、骨密度が低下します。
アルミニウムの腎臓への影響
  • 腎臓はアルミニウムの排出に重要な役割を果たします。長期的なアルミニウム暴露は腎機能に負担をかけます。
  • 腎不全:腎臓がアルミニウムを適切に排出できなくなると、腎不全のリスクが上がります。特に慢性腎臓病の患者は、アルミニウム毒性が進行しやすくなります。
  • 腎結石:アルミニウムが鉱質代謝を乱し、尿路でカルシウムなどのミネラルが過剰に沈着することで、腎結石が形成されやすくなります。
アルミニウムの肺への影響
  • 大気中のアルミニウム粉塵や蒸気を吸入すると、肺に直接入ります。肺線維症や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器系疾患を起こします。
    アルミニウム粒子が肺組織に沈着したり、肺細胞を損傷し、炎症や気道の狭窄を引き起こします。
アルミニウムの免疫への影響
  • アルミニウムは免疫細胞の機能を低下させ、感染症に対する抵抗力が弱まることが知られています。一部の研究では、自己免疫疾患との関連も指摘しています。
アルミニウムの肝臓への影響
  • 過剰なアルミニウム曝露が続くと肝障害のリスクが高まります。アルミニウムが肝臓の解毒能力を低下させ、肝機能障害を起こしやすくします。
アルミニウムの栄養・代謝への影響
  • アルミニウムは亜鉛、カルシウム、鉄、リンなどの代謝に干渉します。例えばアルミニウムが過剰蓄積していると亜鉛不足が起こります。貧血にもなりやすくなります。リンはATPというエネルギーのチップの原料です。リン不足でエネルギー不足、疲れやすくなります。

3.アルミニウム解毒(デトックス)方法:栄養療法や解毒治療

アルミニウムの解毒手段

  • アルミニウムは全身機能に影響を及ぼします。いったん体に取り込むと健康上のメリットがひとつもなく、有害でしかありません。
    すでに体に取り込んでしまったアルミニウムは量は減らしたいものです。アルミニウムの解毒法を模索しましょう。
    ここではエビデンスがあるアルミニウムの解毒法や、体内のアルミニウム負荷を減らすものをリストアップしました。

1. キレーション治療(EDTA製剤 CaNa2EDTA点滴)

  • 点滴による有害金属の解毒治療のことです。EDTAは金属と結合する解毒の薬で、重金属を捕まえるという意味です。治療はその名詞形のキレーションという名称です。鉛、アルミニウムやカドミウムの解毒を促します。プロトコール例:週1の頻度で20回目の時に治療経過の重金属量を測定します。

2. 細胞膜置換治療 (フォスファチジルコリンの点滴)

細胞膜_ウェルネスクリニック神楽坂
  • フォスファチジルコリンは細胞の外側の細胞膜の主な構成成分です。このフォスファチジルコリンは脂質なので脂溶性の毒素が大量に絡みついています。点滴によって全ての血管にピュアなフォスファチジルコリンを通過させながら、毒絡みの細胞膜成分と置き換えます。毒がフォスファチジルコリンに結合したまま細胞から外され、毒のない綺麗なフォスファチジルコリンがそのスペースに代わりに収まります。細胞膜成分に絡まった毒や細胞膜の隙間に蓄積したさまざまな毒が排出されます。
    米国のPatricia Kane博士の提唱する解毒法、PKプロトコールとしても知られています。当院では細胞膜置換治療(PKプロトコール)は、重金属の解毒やカビ毒(マイコトキシン)などの解毒、脳の細胞保護に活用しています。

3. ゼオライト Zeolite Clinoptilolite

  • ゼオライトは高い吸着力を持つ鉱物です。
    ゼオライトは多孔質の構造とイオン交換能が特徴の鉱物です。アルミニウムイオンやその他の重金属と結合します。
    ゼオライトの構造は大きな面にたくさん穴が空いていて、そこに金属が引っかかり、丸ごと体外へ排出します。ゼオライトは安全でポテンシャルが高く、日常的に取り入れると有益です。少し脱線してゼオライトの作用に注目してみましょう。
  • 重金属の解毒をするゼオライト
    ゼオライトは経口摂取すると腸内で有害物質を吸着します。カドミウム、鉛やアルミニウムを吸着して便からの排出を促進します。
  • 腸の健康サポートもできるゼオライト
    ゼオライトは腸内細菌叢のバランスを是正します。ゼオライトは腸内の毒を吸着しつつ、腸内細菌叢を整える、二刀流の解毒剤です。腸の機能を改善しながら脳の病気の予防と改善の一助になります。ここまでやってくれる解毒剤は他に類を見ないですね。
  • 重金属以外の解毒の能力を持つゼオライト
    マイコトキシンの解毒:アフラトキシンなどのカビ毒(アフラトキシンはアスペルギルス菌が産生する毒性の強い物質で、免疫抑制、発がん性、神経毒性があります。)
    有機リン酸系の農薬の解毒
    アンモニアの解毒
    亜硝酸塩の解毒
    ヒスタミンの解毒(MCASというヒスタミン活性による突発的な反応を軽減します)
  • 酸化ストレスの軽減、抗炎症作用、免疫調整作用もあり
    ゼオライトは酸化ストレスを軽減する抗酸化作用を持ちます。アルミニウムなどの有害物質による酸化ダメージと炎症を緩和します。腸管免疫をサポートする免疫調整作用もあります。
  • ゼオライトの安全性と副作用
    ゼオライトは天然成分で比較的安全です。しかし多孔質のためそもそもが有害金属が含まれている低品質なものもあります。医療グレードの高品質な製剤を選ばねば本末転倒です。
  • ゼオライト使用のポイントと注意点
    ゼオライトは、アルミニウムに対する補助的な解毒手段です。アルミニウム場合は食事の調整、腸内免疫の改善、EDTAキレーション、グルタチオンや細胞膜治療などをサポートします。

グルタチオン、NAC(Nアセチルシステイン)

  • グルタチオンは抗炎症効果と解毒作用を持ちます。アルミニウムによる細胞損傷を抑えます。グルタチオンはアミノ酸が3つ組み合わさったペプチドの構造になっています。
    カプセルや錠剤などで服用すると、消化されてバラバラのアミノ酸に分解されます。ですからグルタチオンは普通のカプセルや錠剤として服用しても効果がありません。
    グルタチオンは点滴や経皮吸収剤など、経口を避ける方法、または、リポゾーム型に調整したゲル状の製剤を使います。
    NACは体内でグルタチオンになる、グルタチオンの前駆体物質です。
    グルタチオンもNACも、他の解毒法との相乗効果でアルミニウムなどの有害金属の排出を促進します。

亜鉛

  • 亜鉛は重金属の毒性に対する保護作用があります。亜鉛はそもそも体の免疫能をサポートする最重要微量元素です。亜鉛が充足していると有害重金属が蓄積しにくくなることも知られています。亜鉛は有害金属と椅子取りゲームをしていますね。
    亜鉛はアルミニウムが神経系や免疫系に与えるダメージを軽減すると言われています。亜鉛はアルミニウムと拮抗して、アルミニウムの腸管吸収を抑える働きもあります。
    アルミニウムのソースはほとんど食べ物や飲み物でしたね。亜鉛充足を日頃から意識して、アルミニウムを迎え撃つのが理にかなっているでしょう。

シリカ(ケイ素)

  • ケイ素はアルミニウム排出をサポートします。

ポリフェノール、例えばクルクミン、レスベラトロール

  • ポリフェノールは強力な抗酸化作用と抗炎症作用を持ち、神経保護作用、老化細胞除去の代表的な物質としても知られます。アルミニウムによる酸化ストレスや炎症の抑制に寄与します。アルミニウムの毒性から脳を保護する可能性が示唆する研究があります。しかしながら、クルクミンはターメリック由来なので、原料の産地の土壌汚染などの有害残留物には注意が必要です。

メラトニン

  • メラトニンは脳の松果体という臓器から分泌されるホルモンです。アルミニウムの脳への有害作用を緩和します。アルミニウムの害から脳を守る働きがあります。

まとめ

アルミニウム時代に生きるわたしたちの身の回りのアルミニウム、健康への影響、アルミニウム毒性の解毒手段を紹介しました。
当院(ウェルネスクリニック神楽坂)では、必要に応じて検査や専門的なアドバイスを行い、個々の症状やライフスタイルに合わせたデトックス法やサポートを提供しています。

日常生活でアルミニウム摂取を減らす実践例

調理器具の見直し:アルミ製の鍋やフライパンの使用を控え、ステンレス製やガラス製、ホーロー製の器具に切り替える。
食品選びと合成薬:アルミ缶飲料や加工食品、菓子類のアルミニウム化合物を避ける。不要な胃薬を避ける。
フィルター水の利用:水道水を直接飲まない。水道水はフィルターや浄水器でろ過し、微量金属成分を減らしましょう。
解毒の検討:信頼できるサプリメント、腸や炎症やミネラルバランスを整えたり、アルミニウムの排出をサポートする。

アルミニウムは、知らず知らずのうちに私たちの体内に取り込まれ、健康リスクを高めます。地球人としてできることは、アルミニウムをなるべく取りこまないことです。アルミニウムを意識しない理由はありません。しかし、適切な対策とデトックス(解毒)方法によって、その蓄積を抑え、排出を促し、健康状態の改善が期待できます。ウェルネスクリニック神楽坂では、専門的な知見とサポートを提供し、一人ひとりに合わせたケアを行っています。ぜひお気軽にご相談ください。

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現代地球人のアルミニウム暴露について警鐘を鳴らしています。アルミニウムの侵入経路や具体的な健康被害について興味を持ったら必読です。

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