人工乳腺シリコンの豊胸についてです。豊胸の歴史は60年ほどになりますが、最近まで「シリコン豊胸の後遺症」は殆ど話題になりませんでした。
ところが、人工乳腺シリコンを入れると、将来免疫の病気や筋肉痛、慢性疲労、認知症リスクを高めることがわかってきました。米国ヒューストンのMDアンダーソン癌センター(世界的な癌専門病院の名門)をはじめ欧米の大規模な研究が、豊胸後はガンやリウマチ、皮膚筋炎、ループスなどの自己免疫疾患にかかりやすくなると指摘しています。
豊胸 ( o )( o )は美の価値観なので、個人の自由です。でも全世界で毎年1000万人強の豊胸術を受ける女性たちには、シリコンは化学物質で、その成分が身体に溶け出すことがあると知ってほしいです。狭い部位に大きな異物を押し入れた痛みに悶え、痛みを忘れ何年も経ったころ全身の不調に襲われるリスクもある、と理解した上でシリコン移植に臨むべきでしょう。シリコンを除去してもなお体調が回復しないケースも多いのです。
当院では、シリコンバッグ移植歴のある方たちの体内の有機溶剤蓄積検査を施行したところ、フタレートなど過剰なプラスチック成分が見つかりました。もともと検査した理由は、慢性疲労症候群や化学物質過敏症の原因を探す一貫で行なったためです。誰ひとり数年前に移植したインプラントと体調不良をリンクしていませんでした。乳腺が腫れていたり痛いわけではないので、乳腺に原因があるとわかりにくいのです。
人工乳腺シリコンの移植は、歯の詰め物、アマルガムという銀歯にも通ずるものがあります。人工的な異物をからだに埋めたり移植するときは慎重に判断したほうがよさそうです。