コロナの薬、レムデシビルについて
世界で猛威をふるうコロナウイルスはRNAウイルスです。そのため、SARS-Cov2(新型コロナウイルス)に対してRNAポリメラーゼ阻害薬である抗ウイルス薬、アビガン(インフルエンザの薬)やレムデシビル(エボラ出血熱の薬)が注目されています。
1月末頃ウイルスの正体が解明されていないころ、タイや中国でエイズの薬やインフルエンザの薬が効果的だったという報告がありましたが、結局瞬く間に世界中に感染が拡大しました。
2月になりコロナウイルスが単純なRNAウイルスではなく、人為的な操作をされたウイルスでHIV(エイズ)のゲノム並列を有するようだという指摘がありました。HIVはレトロウイルスです。
レトロウイルスはRNAウイルスの中でもとくにエラーを修復しないまま増幅するのでどんどん変異します。DNAウイルスの増幅は遺伝子の設計図を紐解いて、複製をして、コピー中のエラーを直しながら増幅するのに比べると、RNAウイルスはDNAウイルスよりも増殖スピードが速いです。
そのRNAウイルスの中でももとくにレトロウイルスは、逆転写酵素という酵素が働き、コピーミスがあっても気にせず最速でウイルス量が増えます。
レトロウイルスの代表例はエイズの原因ウイルスのHIVと書きましたが、HIVは変異するおかげで薬に耐性を持つことができて、いつまでも人間の染色体内に組み込まれたまま生存します。コロナ対策にはレトロウイルス対策も考慮する必要があるでしょう。
そのためには逆転写酵素阻害です。RNAポリメラーゼ阻害だけ事後に(ウイルスが染色体に侵入後ということ)行っても時すでに遅し、です。その間にも逆転写酵素がアバウトな複製で猛スピードでウイルスを増やしているからです。
RNAポリメラーゼ薬、レムデシビルに話を戻すと、何事にも慎重な日本にしては異例のスピードでコロナの治療薬に採用されました。WHOがレムデシビルついて4/24付けのプレスリリースで効果があるとしたのは手許の資料を見間違えたから、というニュースもありましたがどんでん返しですね。
欧米の現場医師の間では、レムデシビルはまだコロナ患者の第一選択薬ではなく、使うにしてもクロロキンなどの経口薬と組み合わせです。注射薬なので軽症例や自宅待機の患者さんには使えず、重症の入院患者さん用です。
RNAポリメラーゼだけで万事解決ではなく、もちろん多角的なアプローチが必要ではありますが、レムデシビルが死亡率を有意に下げるのなら心強いです。
もちろんまず感染しないこと、または軽症のうちに治ることがベストです。これについては出口が見えてきていますので、明日また投稿します。
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