ヒト⻭髄幹細胞培養上清

歯髄幹細胞培養上清とは

『歯髄幹細胞培養上清』とは、歯髄由来の幹細胞を培養し増殖する過程で分泌される上澄み(液性因子)のことです。この液性因子はサイトカイン*、ケモカイン、エクソソーム**等、多種多様な生理活性物質で構成されています。
幹細胞は自身が分化、増殖をする目的のためにさまざまな生理活性物質を分泌します。幹細胞は炎症を和らげながら細胞を再生し組織を修復します。
幹細胞培養上清は幹細胞が機能するときに足場のような必要不可欠な存在で、幹細胞と類似の作用をします。治療薬として投与すると、細胞を含まないため、アレルギーや拒絶反応の問題がありません。
*サイトカインは「細胞=Cyto」「作動=Kine」の意味で、細胞が分泌して作用するペプチド(低分子タンパク質)の総称です。細胞の増殖、成長、代謝、炎症などの情報伝達もサイトカインが司ります。
**エクソソームとは
細胞膜から細胞外マトリックスに放出される、遺伝子の切れ端(miRNA)が詰まった超小型(30-200nm)の細胞外小胞です。エクソソームは内容物を他の細胞に物質輸送を介して情報伝達をする細胞間物質輸送担体です。

歯髄幹細胞の強み

幹細胞の分化能(体を作っている様々な細胞を作り出す能力))は幹細胞の起源によって異なります。乳歯の歯髄から取り出した歯髄幹細胞の分化能と分裂能力(自己複製をする能力)は脂肪や骨髄など他の組織由来の幹細胞を濃度と質ともに圧倒します。歯髄由来幹細胞は神経外胚葉と間葉系幹細胞の性質を併せ持ち、口腔内疾患だけでなく様々な難治性全身疾患の改善に有用と考えられています。

乳歯については、乳児から少年期までに急速に成長する強い分化能力と急成長をする特殊な細胞であることから、乳歯歯髄の幹細胞が特殊な分化能力(再生能力)を持つことが証明されています。

歯の断面図

幹細胞は加齢に伴い日々減少

加齢とともに幹細胞数が急速に低下します。赤ちゃんと40代成人は30倍もの幹細胞量の差があります。また、若いほど幹細胞の質と機能が高いです。例えば若い頃に比べて病気や傷の回復が遅くなるのは幹細胞の量と質の劣化のためです。

※グラフの縦軸:新生児の幹細胞数を1とした場合の幹細胞数

不死化ヒト歯髄幹細胞培養上清の製造法

  1. 不死化ヒト歯髄幹細胞培養上清は日本人ドナーのシングルセル由来で一貫して国内製造されます。
    (厚生労働省管轄独立行政法人医薬品医療機器総合機構より)
    • ドナーの適格性(医療廃棄物由来でないことが重要です)
    • ウイルス試験の設定及び製造工程中のウイルス不活化/除去工程の設定
    • トレーサビリティの確保
  2. 親権者協力の下ドナーの健康な乳歯歯髄幹細胞、間葉系幹細胞としての多分化能をもつ
  3. 脱落前に抜歯
  4. 歯髄を摘出
  5. 幹細胞を抽出、数時間以内に初代培養
  6. 不死化因子導入幹細胞
  7. 幹細胞を播種
  8. 培養して増殖
  9. 細胞と培養液を分離

歯髄由来幹細胞培養上清は細胞を含まない培養上清のため、血栓や免疫拒絶反応などのリスクがありません。不死化ヒト乳歯歯髄幹細胞は他幹細胞に比べ、分化能と分裂能が高く、再生因子をより多く産生し抗炎症効果を持つ歯髄幹細胞であり、さらに不老不死化樹立により安定して均質に無限培養をしたものです。安全性と高品質の担保のために当院では不死化ヒト乳歯歯髄幹細胞を採用しています。

主な成分、サイトカインの特徴

特徴

  • 低分子ペプチド
  • 150種以上の成長因子を含む
  • 細胞表面に存在する受容体に結合して機能を発揮する
  • 1種類のサイトカインが、相互補完的に複数の異なる作用を発揮する

薬理作用

  • 炎症を抑える機能
  • 炎症で傷ついた細胞を保護する機能
  • 体の中に存在している幹細胞を誘導する機能
  • 新たな血管を作る機能

    従来の薬剤で、上記4機能を全て持つものはありません。いずれが欠けても組織や臓器の再生はできません。

歯髄幹細胞培養上清に含まれる主なサイトカインとその作用

サイトカイン名主な作用
VEGF:血管内皮細胞成長因子血管内皮細胞の増殖、血管形成
FGF:繊維芽細胞増殖因子細胞・組織の増殖や分化
PDGF:血小板由来成長因子損傷組織の増殖・再生
TGF-β:トランスフォーミング増殖因子β骨芽細胞の増殖及びコラーゲンなどの細胞の合成・増殖
TGF-α:トランスフォーミング増殖因子α上皮細胞・神経細胞を増殖、分化させる
IGF:インスリン様成長因子様々な細胞に対し成長・発達させる
HGF:肝細胞増殖因子様々な組織の修復に関与、上皮系内皮系細胞やケラチノサイトの増殖促進→組織再生
CNTF:毛様体神経栄養因子神経幹細胞の増殖促進・活性化
NGF:神経成長因子神経伝達物質の合成・促進、細胞損傷時の修復、脳神経機能回復を促進
BDNF:脳由来神経栄養因子神経細胞の生存維持・成長促進
NrCAM:神経細胞接着分子シグナル伝達を介した細胞間コミュニケーション
TIMP1, TIMP2:メタロプロティナーゼ阻害因子細胞外マトリックス組成、創傷治癒促進
OPG:オステオプロテゲリン骨吸収抑制、破骨細胞分化抑制

適応例

神経・脳
脳梗塞後遺症、虚血性脳卒中、アルツハイマー病、軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病、ALS(筋萎縮側索硬化症)、ギランバレー症候群、不眠症、虚血再灌流障害、糖尿病性末梢神経障害、自律神経失調症
呼吸器
間質性肺炎、喘息、慢性気管支炎、肺気腫
腎臓
糖尿病性腎症、腎機能障害
肝臓
肝炎、肝機能障害
循環器
心筋梗塞、狭心症、不整脈、血圧異常
免疫
花粉症、アレルギー、化学物質過敏症、シェーグレン症候群、自己免疫性肝炎、関節リウマチ
皮膚
アトピー性湿疹、乾癬、蕁麻疹、脱毛症、褥瘡、皮膚再生
その他
慢性疲労、変形性関節症、骨折、骨粗鬆症、サルコイドーシス、緑内障、ベーチェット病、歯肉炎、歯周病、甲状腺機能異常、前立腺肥大、勃起障害、更年期障害(男女)、など

不死化歯髄幹細胞培養上清治療の流れ

事前のご予約が必要です。治療は点滴投与です。所要時間は30-45分です。
不死化歯髄幹細胞培養上清1ml量の点滴料金88,000円(税込)

参考文献

Nessima Sultan et al. Neurotrophic effect of dental pulp stem cells on trigeminal neuronal cells  Nature, Scientific Reports veol.10:2020
歯髄幹細胞培養上清が三叉神経の神経新生、維持、修復のための神経成長因子を分泌するという文献

Flexing wang et al. Dental pulp stem cells promote regeneration of damaged neuron cells on the cellular model of Alzheimer’s disease Cell Biology International June 2017
歯髄幹細胞培養上清のアルツハイマー病の損傷神経細胞への治療応用

Mayu Matsumura Kawashima et.al. Secreted factors from dental pulp stem cells improve Sjogren’s syndrome via regulatory T cell mediated immunosuppression  Stem cell Research & Therapy 2021 vol12:182
シェーグレン症候群への治療適応

Ahmed Lofty et al. Stem cell therapies for autoimmune hepatitis Stem Cell Research & Therapy vol.12:386 (2021)
自己免疫性肝炎への治療適応

Jassim Abdalkaareem Saade et al. Shining the light on clinical application of mesenchyme stem cell therapy in autoimmune diseases Stem Cell Research & Therapy vol.13: issue(1) (2022)
自己免疫疾患への間葉系幹細胞の治療応用の光明について: シェーグレン症候群、多発性硬化症、1型糖尿病、関節リウマチ、自己免疫性肝炎、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス (SLE) 各疾患について治療効果のメカニズムを説いた論文

Mark F Pittenger et al. Mesenchymal Stem Cell perspective:cell biology to clinical progress npj Regenerative Medicine 4:22(2019)
間葉系幹細胞の臨床応用についての文献:近年30年間の間葉系幹細胞の臨床試験によって間葉系幹細胞が抗炎症と免疫調整能を有し幅広い臨床応用が可能というレビュー

Marissa A. Lithopoulos et al. Pulmonary and Neurologic Effects of Mesenchymal Stromal Cell Extracellular Vesicles in a Multifactorial Lung Injury Model American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine May 2022:205
ヒト間葉系幹細胞培養上清の気管支肺異形成症への応用

Melissa Lo Monaco Therapeutic Potential of Dental Pulp Stem Cells and Leucocyte and Platelet rich fibrin for Osteoarthritis Cells 2020, 9(4), 980
歯髄由来幹細胞の変形性関節症への応用についての文献

Satoshi Yamaguchi Dental pulp-derived stem cell conditioned medium reduces cardiac injury following ischemia-reperfusion Scientific Reports 2015 vol5
歯髄由来幹細胞培養上清が心筋虚血性再灌流の損傷を軽減する

エクソソーム

エクソソーム_ウェルネスクリニック神楽坂

細胞膜から分泌されるナノサイズの顆粒状の物質のことで、マイクロRNA、タンパク質、脂質などの様々な生体物質を輸送します。エクソソームは全身の細胞に作用して細胞間シグナル伝達とコミュニケーションを促します。胎児の絨毛膜由来のエクソソームは細胞増殖、分化の能力が非常に高いので、治療として投与した際は組織の再生と抗炎症の指令を全身に送り、さまざまな病態に効果的です。最近では米国をはじめ海外でコロナ後遺症に使われたという報告が続いています。絨毛膜由来のエクソソームが特に心筋保護作用と血管内皮細胞の抗炎症に働く作用が高いことも知られています。皮膚科領域では熱傷などの皮膚再生や肌のアンチエイジング作用に胎盤は活用されてきましたが、近年はエクソソームを用いた内臓疾患に対する新しい治療法にも注目され、多くの研究機関や大学病院で研究が進んでいます。

組織再生と抗炎症のためにエクソソーム治療や不死化ヒト乳歯歯髄由来幹細胞培養上清治療を活用すると効果的です。細胞再生とミトコンドリア再生もサポートするため、慢性疲労対策、内科的なアンチエイジング、特に脳のアンチエイジングの一助となります。早い治癒効果を期待できるツールとして安全な再生医療です。

適応例

不死化ヒト乳歯歯髄由来幹細胞培養上清治療

  • リーキーブレイン
  • ブレインフォグ
  • 脳卒中後遺症
  • 脳の炎症
  • 神経変性疾患
  • 物忘れ
  • カビ毒による脳のダメージ
  • コロナ後遺症など

エクソソーム治療

  • リーキーガット
  • 組織
  • 細胞の修復
  • 細胞再生
  • 全身のアンチエイジング
  • 慢性疲労
  • ホルモン機能改善
  • コロナ後遺症など

治療料金

エクソソーム治療        55,000円(税込)

※当院で使用する間葉系幹細胞は日本人のドナー由来の組織を用いた厳しい安全性確認検査を受けた、ドナー情報の追跡可能な製剤です。ドナー選別、組織の保管、輸送、細胞加工、すべての工程が国内施設で行われてます。安全性検査はマイコプラズマ、エンドトキシン、生菌数試験、ウイルスを含む病原体の網羅的なPCR解析を行なっています。

参考文献

Muthu S, Bapat A, Jain R, Jeyaraman N, Jeyaraman M. Exosomal therapy-a new frontier in regenerative medicine. Stem Cell Investig. 2021 Apr 2;8:7
再生医療分野における画期的なエクソソーム治療を紹介する文献

Sengupta V, Sengupta S, Lazo A, Woods P, Nolan A, Bremer N. Exosomes Derived from Bone Marrow Mesenchymal Stem Cells as Treatment for Severe COVID-19. Stem Cells Dev. 2020 Jun 15;29(12):747-754.
骨髄由来エクソソームがコロナ後遺症に効果があるという結論

Joo HS, Jeon HY, Hong EB, Kim HY, Lee JM. Exosomes for the diagnosis and treatment of dementia. Curr Opin Psychiatry. 2023 Mar 1;36(2):119-125.
エクソソーム治療が認知症に効果的と示す文献

Mitrani MI, Bellio MA, Meglin A, Khan A, Xu X, Haskell G, Arango A, Shapiro GC. Treatment of a COVID-19 long hauler with an amniotic fluid-derived extracellular vesicle biologic. Respir Med Case Rep. 2021;34:101502
胎盤組織由来エクソソーム治療がコロナ後遺症改善に効果示す。

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