点滴・注射治療の種類
- オゾン療法
(大量自家血オゾン療法) - 血液バイオフォトセラピー
(UVBI) - ダイナミック
バイオフォトセラピー - 高濃度ビタミンC療法
- ホスファチジルコリン点滴
(細胞膜置換治療) - クルクミン点滴
- NMN
- メチレンブルー
- キレーション
CaEDTA・NaEDTA - アルファリポ酸
- グルタチオン
- アーテスネート
- プラセンタ
(皮下注射・筋肉注射) - DCA点滴(ジクロロ酢酸)
- ⻭髄幹細胞培養上清
- エクソソーム
(胎盤由来の幹細胞培養上清)
オゾン療法(大量自家血オゾン療法)
オゾンを健康のために活用する効果的な方法のひとつがオゾン療法です。
血液とオゾンの混合によって生成される過酸化水素と過酸化脂質代謝物が全身の組織を刺激しドミノ倒し式に連鎖反応を起こします。さまざまなメディエーターや代謝産物が放出されからだに有益に作用します。 オゾン療法は体内の酸素化を高め酸素供給不足による疾病の改善策となります。また、連鎖反応の結果放出される代謝産物が化学的に調合した薬品をはるかに上回る強力な生理的作用で全身の各機能を改善し向上させます。 オゾン療法は組織への血流を増やし、酸素供給を増やし、免疫能を改善し、細胞の修復やエネルギー代謝効率を向上させるためです。 オゾン療法(大量自家血オゾン療法)は日本ではあまり知名度が高くありませんが、イギリス、ドイツ、スイス、イタリア、スペイン、オーストリア、ロシア、米国などの欧米諸国では既に確立した治療法です。欧米では専門の病院が存在し、スタンダードな治療法として安全に施行されています。 アンチエイジング、動脈硬化、糖尿病、リウマチなどに適応され、がん治療にも応用されています。
オゾン療法の効果
オゾン療法の健康改善のための高い有益性と安全性が多くの研究によって明らかにされています。
オゾン療法の作用
- 体内の酸素化
- 血液循環改善
- 免疫能の向上
- ミトコンドリア機能改善
- 解毒のサポート
- 感染症改善
- アンチエイジング
1.体内の酸素化
オゾンガスを静脈から採血した血液に暴露するとどす黒かった静脈血が、みるみる赤く鮮やかな紅色になります。赤くなるのは酸素がヘモグロビンと結合するためです。(オゾンガスの95%以上は酸素です) オゾンが血液と混ざり反応することによって発生するROSやLOPなどの物質がカスケード的に連鎖反応を起こします。 オゾン治療による体内の酸素化は、2,3-DPGを介します。オゾンとの接触で、赤血球膜のリン脂質が離脱し、そこからオゾンがROOR=ペルオキシドという形で赤血球内に流入します。このペルオキシドは、グルタチオンペルオキシダーゼで分解されます。そのときにグルタチオンは還元型から酸化型になり、G6PDによって、2,3-DPGが上がっていきます。 白血球がオゾンに接触すると、インターフェロン-γやサイトカイン系が活性化されます。 血小板がオゾンと接触すると、オータコイドと成長因子の放出が起こり、血液がさらさらになる抗血小板凝集効果をもたらすメディエーターの反応が続きます。 後期反応の過酸化脂質代謝物は、血管内皮細胞でNO放出を増やします。 骨髄に対しては、もともと2,3-DPGの活性が高いスーパー赤血球を生産させるということがいわれています。1回の治療で約0.8-1%のスーパー赤血球が産生されます。血液クレンジングを繰り返し行うことで、スーパー赤血球が増え、全身の血液の20%程度をスーパー赤血球が占めるようになると、体内でパワーに満ちたスーパー赤血球が全身を駆け巡り、ミトコンドリア機能活性化や組織修復、組織の酸素化などの有益な作用を自動的に行うようになります。
2.血流改善
オゾンは体内の酸素化により血流を促進することで体全体の循環を改善します。オゾンによって酸素を含んだヘモグロビンがより多く毛細血管まで届くようになるため、細胞はより多くの酸素を受け取ることができます。慢性的炎症の多くが血流と酸素供給の不全の結果として起こると、多くの研究で指摘されています。オゾン療法は慢性炎症性疾患や加齢に伴う慢性の症状を予防・改善します。 この作用を応用し、治療効果を得られる例にアトピー性湿疹、黄斑変性症、糖尿病や不妊症が挙げられます。 オゾン治療を末梢動脈循環障害患者に施行後、末梢血流の有為な改善効果が研究によって確認されています。末梢動脈循環障害患者にオゾン療法を行うと血中の2,3-DPG濃度が明らかに上がります。すると赤血球の酸素乖離曲線が右方移動し、末梢で酸素を離しやすくなったからです。 また、ヨーロッパで行われた研究では、高齢者対象にオゾンガスを直腸注入した後の代謝活性化の効果を示しました。 直腸注入はヨーロッパでよく用いられている方法で、血液オゾン療法の場合の3~4倍のオゾンを入れます。オゾンを増やしていくと2,3-DPGが上昇します。2,3-DPGが上がると末梢の血流が改善します。
3.免疫能改善
健康な身体の免疫システムは、主な免疫系の腸内免疫をはじめ、バランスがとれた状態にあります。しかし、自己免疫疾患があると、免疫システムは感染源や外的環境からの異物に対して過剰に反応し、自己の組織をも誤って叩くことがあります。オゾンは慢性的感染症などで機能不全となりがちな免疫システムを強化すると同時に、自己免疫疾患のような誤作動をする免疫システムのバランスを取り戻します。 がん、エイズや慢性的な感染症で免疫システムが十分に機能していない場合は、オゾン療法は免疫システムの働きを刺激し、回復を促進します。 オゾンで免疫システムの鎮静化や活性化といった調整ができるのは、オゾン独特の白血球皮膜への働きによるものです。シトキンという免疫関連の伝達役を果たす分子を白血球が生産するよう、オゾンは働きかけることができるのです。 また、オゾン治療により、腸内免疫を司る腸管の免疫細胞の活性化効果も同時に得られるため免疫能改善が促進されます。
4.ミトコンドリア機能改善
オゾン療法は細胞膜修復、エネルギー代謝向上、ミトコンドリアの機能改善に高い効果を発揮します。糖尿病、心血管疾患、アトピー性湿疹、認知症、がんなど、多くの変性疾患の発生過程でミトコンドリアの機能不全が見られます。オゾン療法は2DPGを刺激することで酸素の吸収を促進します。DPGは細胞への酸素供給のため、ヘモグロビン分子からの酸素の放出を促進します。最適量の酸素がミトコンドリアへ供給され、ミトコンドリア内の代謝経路が効率よく作動し、ATP産生が増え、ミトコンドリアの膜が修復され、抗酸化作用が高まるため酸化ストレスを軽減し、病気の予防・抑止効果が期待できます。
5.解毒のサポート
オゾンは毒素を酸化(中性化)し、解毒物質グルタチオンを誘導し、肝臓と腎臓による解毒のプロセスを促進します。オゾン療法(大量自家血オゾン療法)が慢性肝炎や腎機能障害の治療効果を示すエビデンスがあります。
6.感染症改善
ウイルス、細菌、真菌(カンジダ、白癬)を死滅させることで感染症を抑制します。非結核性抗酸菌症、ライム病、エボラ出血熱、ヒトパピローマウイルス(尖圭コンジローマ)などの難治性の慢性感染の治療にも効果があると報告されています。オゾン療法で発生する1O2(一重項酸素)は強力な酸化作用を持つので細菌(特に酸素がない環境で育つ嫌気性の菌)、ウイルス、がん細胞から電子を奪って破壊します。同時に、正常な細胞が修復するのに必要な分の余剰酸素を供給します。
7.アンチエジング効果
ミトコンドリア機能改善、酸化ストレス軽減、解毒能改善、慢性感染症改善、免疫能向上、血液循環の改善、成長因子の放出による全身組織の活性化、正常細胞の再生、アンチエイジング効果があります。
美肌、筋肉量増加、脂肪燃焼促進、基礎代謝率向上による疲労回復・スタミナ増強 視力向上 睡眠の質向上 関節の構造と機能の改善、関節炎、関節痛の改善 運動能力改善、もの忘れ改善、学習力改善、骨の健康、体質改善(アレルギー、過敏症、虚弱など)、インスリン感受性改善(血糖コントロール)、ホルモンバランスの改善、不妊症
血液バイオフォトセラピー(UVBI)
紫外線C波を血液に照射する治療です。血中の酸素分子が励起状態、つまり通常の三重項酸素から一重項酸素になる酸化が起こり、抗酸化作用を刺激し免疫系を活性化します。紫外線による一重項酸素は皮膚にとっては有害ですが、一定量血液中で発生させた場合はより高い抗酸化能を引き出し有益な作用をもたらします。紫外線C波は血液と反応し、過酸化水素(H2O2)を発生させ、細菌、ウイルス、がん細胞を破壊する効果があります。有機化合物や生物的毒素の代謝、その他有害化学物質の解毒も促進します。組織中に蓄積している有害物質を細胞内から外へ、そして体外へ動員します。全身の多くの疾患に適応がありますが、特に感染症、疲労、ぜんそく、頭痛によいです。
ダイナミックバイオフォトセラピー
酸化療法の代表のオゾン療法(大量自家血オゾン療法)と血液バイオフォトセラピーを組み合わせ、同時に施行する治療法です。それぞれの特性を高め合い、相乗効果と継続効果をもたらす最強の組み合わせです。 オゾン療法のみの治療、UVBIのみの治療、ダイナミックバイオフォトセラピー3種類の治療効果の比較研究の報告があります。ダイナミックバイオフォトセラピーがすべての指標において最大効果でした。
高濃度ビタミンC療法
抗酸化剤であるビタミンCを大量に点滴(静脈に直接注射する)をすると、血液中の組織と反応しアスコルビン酸ラジカルと過酸化水素が発生します。高濃度ビタミンC療法は抗がん効果として注目されています。がん細胞は正常細胞と異なり、活性酸素を中和するカタラーゼやペルオキシダーゼといった抗酸化酵素が不足しています。そのため、高濃度ビタミンC療法ではがん細胞のみ破壊されます。
ビタミンCは内服できるサプリメントが存在しますが、点滴による摂取法と作用が全く異なります。サプリメントの場合はからだの恒常性を保つはたらきのせいでビタミンC濃度をどんなにたくさん摂取してもほとんどが尿に排泄されてしまいます。ですから血液中に大量のビタミンCが流れることもなく、酸化ストレスが起こりません。
高濃度ビタミンCはノーベル化学賞と平和賞受賞のポーリング博士が提唱した治療法で、米国では安全な抗がん治療法として多くの医療機関で急速に普及しています。10年弱と比較的新しい治療のため、現在日本ではようやく大学病院でがんに対する治験がはじまったところですが、代替医療や先端治療を施す医療機関は、欧米の研究結果や実績を元に日常的に高濃度ビタミンC療法を抗がん対策(予防と治療)に取り入れています。 また、高濃度ビタミンC療法は皮膚のコラーゲン生成や美白効果に優れているため、肌のアンチエイジング効果をもたらします。
ホスファチジルコリン点滴(細胞膜治療)
phosphatidylcholine drip
ヒトの細胞膜の基本構造は二重層で、細胞の中の世界と外の世界の境界を作っています。二重層はほとんどがリン脂質です。
細胞膜にはリン脂質の隙間を埋めるようにコレステロールが存在したり、自由自在にリン脂質の隙間を移動できるタンパク質があり、受容体を形成するタンパク質や細胞膜表面に飛び出た糖鎖がありますが、細胞膜の主役はリン脂質です。
リン脂質の成分の大半はホスファチジルコリン(PC)で、他はスフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールなどです。
細胞膜の外と中の物質の出入りは細胞膜の構造が影響します。
物質の出入りやシグナル伝達の受け渡しが内外の濃度勾配に依存したり、膜上の受容体を介したり、必ず細胞膜を通過するため、細胞膜の流動性が重要です。
ところが、加齢、炎症性疾患、その他基礎疾患など様々な理由で細胞膜のリン脂質の構成が変化します。
例えばホスファチジルコリンが減少し、代わりにコレステロールとスフィンゴミエリンが増加すると、細胞膜が柔らかさを失い流動性のない硬い膜になります。
脳の細胞膜に流動性に乏しい変化が起こると、脳内にはβアミロイドタンパクという異常なタンパク質が蓄積し、炎症性物質を放出し、アルツハイマー病を発症しやすくなります。
さらに、ホスファチジルコリン(PC)はアセチルコリンという脳内の神経伝達物質の材料です。
アセチルコリンは筋肉のうごき、脳や神経の活性化や機能に必須の神経伝達物質です。
ホスファチジルコリンは細胞膜流動性に加え、アセチルコリンを活性化するという利点があります。
ホスファチジルコリン(PC)点滴は、上記で述べたように、脳神経系の記憶力低下、アルツハイマー病、認知症、記憶喪失、パーキンソン病、不安症、うつ症状、頭痛、多発性硬化症、神経毒のドレナージなどです。
脳以外は、肝機能低下(肝炎、非アルコール性脂肪肝など)、胆のう疾患、動脈硬化(血管のプラーク、石灰化)、高脂血症、月経前症候群(PMS)、慢性疲労、自己免疫疾患です。
ホスファチジルコリン(PC)を投与すると、細胞膜のスフィンゴミエリンとコレステロールが大量に置き換わり、細胞膜の流動性が高まります。
ホスファチジルコリン治療は細胞膜の流動性が低下して疾患が進行する病態に適しています。
当院では、主に化学物質過敏症、マイコトキシン(カビの菌毒素)、ライム病の回復期、再発予防などの感染症関連、動脈硬化(石灰化)、認知機能改善、解毒治療(キレーションと併用)に取り入れています。
脳とホスファチジルコリン点滴(細胞膜治療)
~脳卒中後遺症、外傷による脳損傷、リーキーブレイン、アルツハイマー、認知症予防~
脳細胞の機能回復において細胞膜のリン脂質が重要な役割を果たします。
ホスファチジルコリン (PC)は脳卒中や外傷がきっかけの脳神経ダメージの回復を促す一助になります。
その他にもカビやライム病をはじめとした特定の感染症や有害化学物質(水銀、アルミニウム、フタレートなど)への暴露による認知機能低下の治療の際、ホスファチジルコリンを使うことがあります。
有害金属の解毒治療のキレーションという治療法があります。血管の石灰化や鉛、カドミウムなどを解毒するEDTAという薬剤の点滴治療です。
EDTAは切れ味のよい治療薬で、有害物質を確実に捕まえます。重金属を捕まえたあと、細胞内から細胞外に出て無事に体外に排出するにはホスファチジルコリンのように細胞膜の出入りを流動的にして、毛細血管においても血流を改善します。
解毒の流れはフェーズ1で肝臓の酵素代謝を通過しフェーズ2で抱合型反応をします。
ホスファチジルコリンがフェーズ1を滞りなく進め、かつフェーズ2でメチレーションやグルタチオンとの反応をサポートします。
ホスファチジルコリンはキレーションに伴う毒の体内再分配(軽率な解毒全般に該当する失敗パターン)などのリスクを回避できるだけでなく、キレーションの効果を高めます。
PCBや農薬その他の有害有機化合物も同様です。
ホスファチジルコリン治療で細胞内外の流動性を高め、血流を改善し、有害物質の解毒治療を併用すると効果的です。
細胞機能全体の改善、腸管粘膜のタイトジャンクションの修復、栄養素の細胞への輸送のサポート、重金属、有機汚染物質などの有害物質の排出を促します。
肝機能とホスファチジルコリン点滴(細胞膜治療)
ホスファチジルコリンは肝臓の健康に重要です。
多くの研究でホスファチジルコリン治療はNAFLD(非アルコール性脂肪性肝炎)、アルコール性肝炎、B型肝炎、C型肝炎の改善に有益なことが知られています。
たとえばB型肝炎の症例2つのグループの比較研究では、一年間ホスファチジルコリンを服用したグループは臨床的に安定し肝機能が有意に改善しましたが、プラセボ群では肝機能障害が進行しました。
ほかの大規模スタディでは、B型肝炎またはC型肝炎の患者は、インターフェロンを24週間投与した後、ホスファチジルコリンとプラセボの2グループにわけて24週間モニターしました。
特にC型肝炎グループではホスファチジルコリン使用グループがプラセボグループと比較し有意に改善し長期間持続しました。
脂肪肝の症例報告では、肝酵素数値の改善と肝脂肪消失以外にも、高脂血症改善、心エコーでの心機能評価改善、頚動脈血流量増加など認めています。ホスファチジルコリンの肝機能への作用は重要です。
カビ感染、ライム病、SIBOなど慢性の感染症は菌毒素や菌の死骸や老廃物が発生し肝臓で代謝される有機化合物です。鉛や水銀などの有害重金属も肝臓代謝を要します。
余剰な炎症性物質が長期間体内に積もり、血管壁や脳の健康に影響します。主役のスポットライトを浴びないけれども解毒に一役買い必要不可欠なサポートを担うのがホスファチジルコリンです。
ミトコンドリアとホスファチジルコリン点滴(細胞膜治療)について
ホスファチジルコリンは細胞膜を安定化してミトコンドリア代謝をサポートするのでエネルギー産生効率が上がります。
脳細胞や心臓の細胞は特にミトコンドリアを多く有します。
ミトコンドリア機能を向上させたいときに、ミトコンドリア内のクエン酸回路に作用する酵素や補酵素だけに着眼するのではなく、ミトコンドリアを包む細胞膜の流動性に配慮します。
感染症とホスファチジルコリン点滴(細胞膜治療)
慢性カビ感染、ライム病など
室内環境に生息したカビは、湿度や室温、建物の水はけ、換気、日当たり、水害など諸条件により繁殖が進みます。
その居住者がいつのまにかカビの胞子をからだにとりいれてしまうことがあり、長期化すると、リンパ組織や、脳(血液脳関門)、気管支、腸などの粘膜に炎症を起こし免疫異常に発展します。
マイコトキシンの治療の一貫で、ホスファチジルコリン(PC)点滴を抗真菌剤と併用します。
米国のDr Patricia Kaneの発案した、高脂血症のための「PKプロトコール」はホスファチジルコリン点滴治療が主体となった治療法で、神経ライム病にも採り入れられることがあります。
ホスファチジルコリン治療が神経症状を来たす病原体の治療に効果的で、ライム病の菌が細胞内感染、細胞膜内感染や細胞膜内感染をする特徴があり、細胞膜流動性が向上することで有害物質を細胞外マトリックスに出します。
ライム病やカビの感染が引き起こす血液脳関門のダメージを緩和し、認知機能の担保、脳内慢性炎症を軽減、脳内有害タンパク質蓄積予防をします。
感染量が非常に多い、菌毒素を産生する病原体の感染がある、混合感染、重金属の蓄積量が非常に多い、有害物質の種類も量も多い、など該当する方についてはホスファチジルコリン治療開始時期を慎重に見立てる必要があります。
*ライム病の病原菌(ボレリア菌)、バルトネラ菌、バベシア菌、マイコプラズマなど
ホスファチジルコリンの安全性
ホスファチジルコリン(PC)は毒性がなく、副作用や催奇形性はありません。血管痛や治療後のだるさなどの副反応もありません。アセチルコリンエステラーゼ製剤を摂取中の方と、製剤の成分にアレルギーがある方は治療を受けられません。
治療は約2時間の点滴で週に1−2回が標準的なスケジュールですが、基礎疾患や併用療法の内容や投薬量によって個人差があります。
併用が効果的な治療法
解毒・キレーション
EDTA点滴、グルタチオン点滴、DMSA、DMPSなど
酸化療法、血球の酸素運搬能向上
オゾン治療
慢性カビ感染、慢性ライム病その他の混合感染
抗菌剤(天然、ケミカル)やバイオフィルムや神経毒対策、ゼオライトなど
リーキーブレインやリーキーガットの治療
原因治療、慢性炎症の原因除去、食事療法、ペプチド、プロバイオティクス、DHA/EPAなど
参考文献
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クルクミン点滴
適応例
- 癌認知症
- アルツハイマー病
- 皮膚の病気
- 自己免疫疾患
- 炎症性腸疾患
- ライム病後遺症 その他感染症
- リーキーブレイン
- リーキーガット
クルクミンは、インドカレーでお馴染みのターメリック(c.longa)というスパイスに含まれる成分です。抗炎症、抗ガン、抗病原体を有する優れた成分です。
主な活用例は、抗がん治療、皮膚炎、自己免疫疾患(乾癬、リウマチ、橋本病、クローン病など)、炎症性腸疾患、アルツハイマー病、動脈硬化、感染症(ウイルス、細菌)などがあり、安全で有効性の高い成分です。
天然成分はえてして化学的に製造された薬よりも効果が穏やかです。
しかし、クルクミンに限ってはケミカルの薬剤に匹敵する抗炎症効果や、ガンの幹細胞*にも作用する抗ガン効果(ガン細胞に分化増殖する強い生命力を持つガンの幹細胞をたたくことができるということ)があります。
癌とクルクミンについて
抗がん剤治療薬(化学療法)はがんを縮小させたとしても、ガンの幹細胞には効きません。また、ガン細胞には転移という特徴がありますが、クルクミンはガン細胞の転移リスクを下げます。
クルクミンの作用機序の一例
ガン細胞の死滅、アポトーシスの誘導、ガンの血管新生阻害、ガン細胞の浸潤抑制、これらを遺伝子レベルでたとえば浸潤に関わるMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)を弱める、VEGF(血管内皮成長因子)を阻害、EGFR(上皮成長因子受容体)の阻害、転写因子の調節、TGFβ(トランスフォーミング増殖因子)の調節、COX2, IL6, CXCL1, CXCL2、NF-κBの炎症抑制、Akt、MAPK、p53、Nrf2、Notch-1、JAK / STAT、β-カテニンなどの細胞シグナル伝達経路を調節が作用機序の一例です。
ガンの研究、予防、治療の世界の中心を担うMD anderson cancer center ではクルクミンをガン治療の一環に位置づけています。
医学の潮流はプレジションメディシンという、個人に合う治療法、治療薬を個別化して選ぶ動きがあります。ガン治療も患者さんひとりひとりのガン細胞の薬剤への感受性を見ながら治療を決定します。
ところがクルクミンだけは別格で、クルクミンをガン治療に使わない理由はない、とドイツや米国の高名な腫瘍専門医に言わしめています。
アルツハイマー病・認知症とクルクミンについて
クルクミンの薬効のポテンシャルの高さでいうと、他にはアルツハイマー病、認知症への応用で注目に値します。神経細胞の炎症の病気も同様です。
アルツハイマー病は、脳内にアミロイドβタンパク(ABP)という物質が蓄積されて脳内に炎症が起こる病気です。ABPの蓄積のせいで老人斑ができ、炎症を起こし、神経細胞の性質が変化してシナプスが働かなくなり、脳が萎縮します。
クルクミンは、血液脳関門を通過して脳内に入り、脳の炎症を抑え、ABPの代謝を促します。
当院でのクルクミンの活用について
当院では、がん補完治療、ものわすれや脳の問題(リーキーブレイン )、皮膚の病気、ライム病をはじめとする特定の感染症や自己免疫異常が関与している病態にもクルクミンを活用します。
皮膚領域は、乾癬、アトピー性皮膚炎、創傷治癒、皮膚の老化、メラノーマ(皮膚の悪性腫瘍)、皮膚感染症(蜂窩織炎、伝染性膿痂疹(とびひ)、毛包炎など)などに有効です。
感染症は、抗真菌(かび)、抗ウイルス、抗菌の効果が知られています。当院では、慢性ライム病のPTLDS(post treatment Lyme disease syndrome)や、神経症状、関節症状、胃腸の症状が再燃した際や感染量が多い場合、クルクミン治療を行います。ピロリ菌治療の一環として取り入れることもあります。
クルクミンが有効な免疫関連の病気は既述の関節リウマチ、甲状腺の病気、白斑、乾癬、ループス、クローン病、多発性硬化症などです。
その他、胆のう収縮作用による小腸内へのコレシストキニン分泌促進、脂肪消化のサポート、胆のう炎、潰瘍性大腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、腸内腐敗、ヘリコバクター・ピロリ感染、クロストリジウム・ディフィシル感染、サラセミア、ぶどう膜炎、前立腺炎、糖尿病、糖尿病性腎症、アルコール中毒、血栓、虚血性疾患の予防、心筋梗塞への治療効果も知られています。
当院ではクルクミンの治療は点滴の静脈投与を行います
クルクミンをサプリメントや食事として経口摂取しても99%が肝臓で代謝されるので疾患を治す効果はほとんど期待できません。
吸収されやすいリポゾーマルタイプのサプリメントもありますが、注射剤の効果にははるかに及びません。
当院ではクルクミンの治療は点滴の静脈投与をおこないます。クルクミンについては、点滴を前提として記載しています。
クルクミンに毒性はなく、安全です。
病態、目的と基礎疾患によって投与量を決定します。治療時間の目安は1〜2時間です。
参考文献
https://doi.org/10.1016/j.cbi.2019.108729
https://dx.doi.org/10.3390%2Fnu11092169
https://doi.org/10.1016/j.jgar.2019.10.005
https://doi.org/10.3390/cancers13143427
https://dx.doi.org/10.3390%2Fnu11102426
https://dx.doi.org/10.1208%2Fs12248-012-9432-8
https://doi.org/10.1002/jcp.26249
出典 テキサス大学MD Anderson cancer center資料
クルクミンの抗炎症作用を示す、細胞シグナル伝達の経路。クルクミンは上記の経路をそれぞれブロックします。
出典 テキサス大学MD Anderson cancer center資料
クルクミンが有効な炎症性疾患例(カテゴリー別)
NMN
NMNの点滴は全身の臓器のNAD+を増やす安全な治療法です。
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は老化制御の治療薬として注目を浴びています。NMNは細胞内のNAD+を増やします。NAD+はサーチュイン遺伝子を活性化して、遺伝子の修復とミトコンドリアの機能を改善します。
「老いなき世界」の著者、デビッドシンクレア教授はマサチューセツ工科大医学部のサーチュイン遺伝子研究を通じ、老化は病気であり治療できると発表しました。
老化治療の鍵となるサーチュイン遺伝子は、細胞分化、細胞の生存、転写制御、DNAの安定化、DNA修復、細胞周期進行、アポトーシス、抗炎症、エネルギー代謝、ミトコンドリア改善、シグナル伝達、脳と神経機能、心臓血管系など、重要な機能を担います。
サーチュインファミリーは、哺乳類に7つのアイソフォームが存在し、それぞれ異なる細胞内局在と生物学的機能を持ちます。
サーチュイン活性の調節は、老化を病気として扱い、治療効果をもたらす画期的な治療手段です。
さまざまな研究によって加齢に伴う病態全般に改善効果が認められています。痩身、筋肉量低下阻止、皮膚の若返り、スタミナ増強、快眠などアンチエイジング領域で注目されています。
ミトコンドリア機能を回復するので、ミトコンドリアの多い臓器、脳と心臓の健康によいです。たとえば、脳の炎症性疾患、アルツハイマーを初めとする神経変性疾患、脳卒中や外傷後の神経細胞回復、虚血再灌流などに応用します。
サーチュイン遺伝子は老化制御に網の目のように広く深く関わっています。
老化のメカニズム
- DNAダメージ、ゲノム不安定
- テロメアが短くなる
- オートファジー、代謝機能の低下(糖化や異常タンパク質などの老廃物の分解、掃除、廃棄ができなくなります。)
- ミトコンドリア機能不全
- サスプ(SASP: Senescence-associated secretory phenotype)増加*
- 細胞間の情報伝達異常による慢性炎症
- タンパク質の正常な働きの低下
- 免疫老化(加齢に伴い胸腺が退縮し、老化リンパ球が台頭します)
- 軽度慢性炎症(inflammaging)
*サスプ(SASP) はゾンビのように老化細胞が蓄積する現象。細胞老化随伴分泌現象のことです。周囲に炎症を起こしながら周囲の組織の老化を加速する。発癌にも関連する。
NADはニコチンアミド アデニン ジヌクレオチドのことです。NADは、細胞エネルギー伝達に必須の補因子で、からだのあらゆる代謝の中心的な存在です。
多くの研究が、加齢とともに各臓器や器官のNADレベルが低下することを示しています。(NAD量の低下の程度は各臓器、器官ごとに異なります。)
加齢とともにNAD合成が弱まり、NADの分解が促進されて細胞のNADの量が少なくなります。
NMNの点滴がNAD+やNMNのサプリよりお勧めな理由
- まずNAD+をサプリや点滴によって補充しても、NAD+は分子量が大きくて細胞膜を通りません。
- NAD+を補充するとフラッシュという皮膚が紅潮する不快な副作用が起こります。
- NMNはNAD+の前駆体で、細胞膜を通過するトランスポータータンパクがあり細胞膜の出入りがしやすいです。
- NMNを点滴投与すると、NMNが全身臓器へ分布され確実に各臓器のNAD+量が増えます。一方NMNのサプリメントは服用後肝臓のNAD+が上昇するのみです。
以上の理由で、からだのNAD+を増やし老化制御を図るためにはNMNの点滴投与がよいです。
キレーション治療(カルシウムEDTA、マグネシウムEDTA)
当院では主に心臓血管障害、免疫異常、および重金属毒性の治療の一環としてキレーションを行います。キレーション治療はEDTA(エチレンジアミン四酢酸)と浸透圧を調節するための栄養素を1-2時間かけて点滴する方法などがあります。
症状や重金属毒性の種類や濃度や患者様の体質に合わせ、DMSAやDMPSの内服や解毒能を促進する治療を上記のキレーション治療に組み合わせることもあります。
解毒目的の点滴治療は、あくまでも重金属の蓄積量や基礎疾患次第ですが、 最初の20-30週間毎週1回、その後3ヶ月間ほどは2週間に1回、そして最終的には1-2ヶ月に1回の点滴を行うことが多いです。
キレーションは数多くの病気に対して使われてきましたが、その有効性に関してはさまざまな議論がなされています。当クリニックでキレーション治療を行う理由は、慢性疾患の原因治療の一貫として必要なことがあるからです。例えば、狭心症(心臓への血行障害により起こる胸痛)の患者様は、痛みの頻度、強度が軽減し、動脈硬化が改善、血圧が安定したり、高脂血症が改善しやすくなります。重金属が体内から排除されるにつれ、ホルモンの機能や神経伝達物質のバランス改善、ミトコンドリアの機能改善、細胞膜の修復、腸内免疫の改善も起こります。そのため、片頭痛、線維筋痛症、リウマチ、月経困難症など改善しやすくなります。治療回数を重ねるにつれ患者様ご自身で治療効果を体感しやすいです。
キレーション治療は欧米諸国では40年以上の歴史があります。重金属が体外に排出されやすい形となり、身体の結合組織中に存在しなくなると様々な効果が現れます。 たとえば2013年では医学ジャーナルのなかでも権威的なJAMA誌にキレーション治療の効能についての研究結果が発表されました。この研究は心筋梗塞の病歴のある患者1700名を対象として実施され、キレーション治療が糖尿病と心血管障害の予防と治癒効果が認められるという結論でした。
身体中に蓄積された重金属は様々な疾患の原因となり、特にがんなど身体に不調がある場合には自己治癒力を低下させてしまいます。キレーション療法を行うと、カルシウム、脂肪、フィブリン(非水溶性のタンパク質分子)、その他のタンパク質や血小板要素と結合した重金属イオンはEDTAに固着します。固着後の物質は血流により腎臓に送りこまれ、その後体外に排出されます。
EDTAキレーション療法で無機・毒性物質と金属イオンを除去することで、身体をフリーラジカルから守るため、細胞膜、ミトコンドリア、DNAの損傷を減らすことができます。
さらには、筋肉、腱の組織中のカルシウム病的沈着物が減少する異所性石灰化の改善効果によって、関節痛、筋肉痛、狭心痛などの痛みの緩和や運動機能の改善も期待できます。
キレーション療法は以下のように全身の様々な病状を改善することができます。補助的療法としての利用も可能です。
老化に伴う体調不良や疾患予防のため、またアンチエイジング対策の一貫として、慢性疾患の原因に重金属毒性が関わるとき、キレーション治療が効果的です。体質・基礎疾患・現症状により使用するキレーション剤は異なるため、医師と相談して治療プランを決定します。
キレーション治療の効能
- 心臓病、狭心症、循環器疾患、高血圧、動脈硬化、高脂血症、不整脈、心筋梗塞、心臓発作予防、末梢血管障害
- 膠原病、自己免疫疾患(リウマチ、ループス、皮膚筋炎、橋本病、クローン病など)
- 変形性関節炎、関節痛、異所性石灰化
- 慢性の頭痛、片頭痛、頭重感、記憶力低下
- 線維筋痛症、慢性疲労症候群
- 腎機能障害
- 骨粗鬆症、異所性石灰化
- がん予防
- ホルモンの機能不全;副腎機能不全、卵巣機能不全 など
- 月経困難症、子宮内膜症
- 不妊症
- PCOS(多のう胞性卵巣症候群)
- 化学物質過敏症、アレルギー体質
- パーキンソン病、認知症、アルツハイマー、うつ症状、不眠
- 肥満、メタボリック症候群、糖尿病
- アトピー性皮膚炎、湿疹、慢性じんましん、乾癬、掌蹠膿疱症、にきび
参考文献
Ferrero ME. Neuron Protection by EDTA May Explain the Successful Outcomes of Toxic Metal Chelation Therapy in Neurodegenerative Diseases. Biomedicines. 2022 Oct 4;10(10):2476.
EDTA製剤の重金属キレーション治療が パーキンソン病や認知症などの神経変性疾患の改善に寄与するという論文(イタリア、ミラノ大学)
Ferrero ME. Rationale for the Successful Management of EDTA Chelation Therapy in Human Burden by Toxic Metals. Biomed Res Int. 2016;2016:8274504. doi: 10.1155/2016/8274504. Epub 2016 Nov 8. PMID: 27896275; PMCID: PMC5118545.
水銀、鉛、カドミウム、ヒ素、ニッケルなどの有害金属の心血管系、神経系、腎臓への急性、慢性中毒の影響について述べ、EDTA治療のそれぞれの組織の保護作用について論じています。キレート剤のEDTA、BAL, DMSA, DMPS, デフェロキサミンなどの代謝経路と副作用を含めた各薬剤の特徴の比較もあり。マイナーな金属も含めた各重金属の臓器レベル、細胞レベル、遺伝子レベルへの作用もまとめてある。
Ouyang P, Gottlieb SH, Culotta VL, Navas-Acien A. EDTA Chelation Therapy to Reduce Cardiovascular Events in Persons with Diabetes. Curr Cardiol Rep. 2015 Nov;17(11):96.
EDTAキレーション治療が糖尿病患者の心筋梗塞、動脈硬化などの循環器疾患の発症リスクを減らすという論文(イタリア、ミラノ大学)
Calderon Moreno R, Navas-Acien A, Escolar E, Nathan DM, Newman J, Schmedtje JF, Diaz D, Lamas GA, Fonseca V. Potential Role of Metal Chelation to Prevent the Cardiovascular Complications of Diabetes. J Clin Endocrinol Metab. 2019 Jul 1;104(7):2931-2941.
重金属除去治療(重金属のキレーション治療)が糖尿病の循環器系の合併症を予防する効果の可能性を述べた論文(コロンビア大学NY米国)
Lamas GA, Anstrom KJ, Navas-Acien A, Boineau R, Kim H, Rosenberg Y, Stylianou M, Jones TLZ, Joubert BR, Santella RM, Escolar E, Aude YW, Fonseca V, Elliott T, Lewis EF, Farkouh ME, Nathan DM, Mon AC, Gosnell L, Newman JD, Mark DB; TACT2 Investigators. The trial to assess chelation therapy 2 (TACT2): Rationale and design. Am Heart J. 2022 Oct;252:1-11.
NIHスポンサーのTACT2ランダム化比較試験の結果考察がされている。40回毎週施行のEDTAキレーション点滴治療が心臓血管系イベント発症リスクを有意に減らすという内容の文献(マウントサイナイヘルスシステム米国)
アルファリポ酸
アルファリポ酸の作用機序
アルファリポ酸の3大利点は、
ミトコンドリア機能サポート
神経保護
解毒作用です。
抗炎症作用を持ち合わせながら、水溶性と脂溶性の2面性があるので細胞に浸透しやすい特徴があります。ミトコンドリアのサポートをするのでエネルギー産生効率が上がります。ミトコンドリアが多い臓器、脳を特に守ります。
腸脳相関のため、アルファリポ酸の治療に先んじてリーキーガットなど腸の問題を改善する必要があります。
ミトコンドリアでのATP産生の必須物質
重金属キレート剤
肝臓における解毒反応促進
抗炎症作用(NFκBを抑制)
アンチオキシダント作用
インスリン抵抗性を低下させる
アルファリポ酸の点滴の適応症
- 化学物質や重金属の解毒
- 疲労回復
- 代謝系
- 糖尿病、インスリン抵抗性
- 骨粗鬆症
- PCOS(多嚢胞卵巣症候群)
- 糖尿病の合併症
- 糖尿病性末梢神経障害、自律神経障害、腎症、網膜症
- 神経・脳
- アルツハイマー病、認知機能低下
- MS(多発性硬化症)
- 片頭痛予防、坐骨神経痛、舌痛症
- 化学療法による末梢神経障害、しびれ
- 眼科領域
- 加齢性黄斑変性症
- 白内障
- 緑内障
- 免疫
- エイズ(後天性免疫不全)
- 自己免疫疾患
- MS(多発性硬化症)
グルタチオン
グルタチオンの三大効果は
- 免疫向上効果。
- 炎症性の慢性疾患を改善。 細胞の酸化を防ぎ、ミトコンドリア機能をサポートする、強力な抗酸化効果。
- 水銀、ヒ素、鉛などの有害金属や有機化合物の解毒効果。
グルタチオンはグリシン、システイン、グルタミン酸の3つのアミノ酸が合体した物質で、肝臓の中に最も多く含まれます。
グルタチオンは上記のように解毒や免疫改善という重要な役割を持つので、肝臓病にグルタチオンの注射をするのはこのためです。グルタチオンは、経口投与だと胃腸で消化され細胞にグルタチオンの構造のまま届きません。そのため、グルタチオンは注射、舌下投与、塗り薬といった経口剤以外の投与法が理にかなっています。
とくに、血管内に注射すると、赤血球を始め、全身の細胞へグルタチオンが届くため、効率よく全身の免疫向上、解毒効果と酸化ストレスから細胞を守る作用を得られます。
グルタチオンの点滴の適応
- 脳の病気(記憶力低下、アルツハイマー、うつ病、自閉症、パーキンソン病など)
- アンチエイジング
- 免疫不全
- 化学物質過敏症
- 肝障害
- キレーション治療(特殊な薬剤が重金属をつかまえて体外へ排泄する治療)
との組み合わせ(相乗効果を得られます。)
アーテスネート
アーテスネートは正常細胞に対しては毒性が少なく作用しません。一方、がんに対してはがんの血管新生を阻害したり、がん細胞への殺傷効果、がんを死滅または縮小させる作用を有します。
アーテスネートはマラリアの治療薬で知られ、病態が似ているバベシアという原虫の感染症にも良く効きます。当院では安全なバベシア症の治療薬として重宝しています。
アルテミシニンはアンブロシア抽出物(アルテミシア、西洋よもぎ)を原料にした酸化促進剤で、アーテスネートはアルテミシアから抽出した誘導体の薬剤です。安全なマラリア治療薬として人類に光明をもたらし2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
過酸化物基は鉄の存在下に不安定になり、次いで2つのヒドロキシル過酸化物の産生が誘導されます。
殺傷効果を持つ高濃度ビタミンC点滴と同様、アーテスネートの治療には鉄の存在が必要です。Peroxy groupが鉄と反応してフリーラジカルが産生され、フェロトーシスで作用します。
有効成分はほとんどが肝臓で代謝されてしまうため経口でなく点滴投与が望ましいです。当院ではがん細胞のアーテスネートに対する感受性が高ければ積極的に使用します。
プラセンタ
プラセンタとは胎盤のことです。
母親の体内で胎児と母体をつなぎ胎児の成長をサポートする成長因子などの豊富な栄養に満ちた臓器です。胎盤はもともと女性のからだに備わっているものではなく、受精卵が子宮内壁に着床して初めてくつられる臓器であり、役目を終えると出産とともに外へ排出されます。
小さな受精卵はわずか10ヶ月のあいだで重さ3キロもある赤ちゃんへと成長します。この驚異的な生命力を胎盤が司ります。
胎盤の薬効は世界中で古代から注目され、とりわけ滋養強壮や若返りの秘薬としても珍重されてきました。
たとえば、フランスのマリーアントワネットやエジプトのクレオパトラはプラセンタ療法を受け、美と健康を保っていたと伝えられています。
プラセンタには多数の生理活性物質が自然のままの状態で含まれているため、全身の器官の機能低下を改善し、かつ、組織の修復を行う能力があります。
老化に共通する特徴は、全身の組織のダメージや全身の機能低下です。プラセンタの中の様々な細胞増殖因子や抗炎症作用のある活性物質は老化による細胞変性を修復しやすくします。
DCA点滴(ジクロロ酢酸)
DCAは以下のメカニズムで悪性腫瘍に効果をもたらします。
- DCAは嫌気性の解糖系よりもピルビン酸のミコンドリアへの流入量を増加させる作用があります。そのため嫌気性解糖系に依存している癌では、増殖が抑制されます。
- ミトコンドリアによるアポトーシス作用を促進して、がん細胞の自死を促します。
- 嫌気性解糖系の乳酸アシドーシスは人体には有害だが、ガンは解糖系を好みます。DCA薬剤はこの解糖系の代謝を阻害しガンに好ましい条件を無くすことを試みます。
- DCAはPDK(ホスホキナーゼ酵素)を阻害してがんの自死を促します。
- ミトコンドリアへのピルビン酸の流入を増加(腫瘍の増殖の抑制)。
- ミトコンドリアのアポトーシス抑制を解除する。
- インビボ、インビトロをともに腫瘍増殖を抑制するという研究報告がある。
- カスパーゼというがん細胞を自死させるシグナル伝達経路を刺激してガン細胞の細胞死を引き起こします。
DCAの適応は、乳酸アシド―シス、家族性脂質異常症、糖尿病、そしてがん細胞への応用です。
不死化ヒト⻭髄幹細胞培養上清
エクソソーム(胎盤の絨毛膜由来の幹細胞培養上清)
メチレンブルー点滴治療
メチレンブルーは塩化メチルチオニニウムとも呼ばれ、医療用途に長い歴史を持つ深い青色の製剤です。近年、認知機能の強化と神経保護のための有望な治療として浮上しています。医療専門家は、外傷性脳損傷、認知症、貧血、一酸化炭素中毒など、脳に関連するさまざまな問題の治療法として利用されています。また、慢性のライム病、カビ、寄生虫、コロナ後遺症などの感染症領域にも効果があることが示されています。
メチレンブルー点滴療法は、認知機能の改善、老化の兆候の軽減から神経変性疾患、細胞の健康促進、疲労回復促進に至るまで、さまざまな作用をもたらします。メチレンブルー療法は、精神的および身体的健康のほぼすべての側面にプラスの影響を与えます。
メチレンブルー点滴療法の適応例
- メトヘモグロビン血症
- 貧血
- 敗血症
- 慢性ライム病、バルトネラなど混合感染
- 神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病など)
- 真菌感染
- 慢性ウイルス感染
- コロナ後遺症
- 認知症
- ブレインフォグ
- 心臓保護
- 神経保護作用
- 慢性疲労症候群
- 線維筋痛症
- アンチエイジング
- 慢性炎症
- 認知症
- うつ症状
- 不安症
メチレンブルーの作用
- ミトコンドリアの膜の電子伝達系*の動きを促進 (電子伝達系はエネルギーの元の電子をベルトコンベア式に受け渡す電気モーターのような構造の部分です)
- 抗炎症作用
- フリーラジカル抑制作用
- 病原体の破壊(抗菌、抗ウイルス、抗真菌、抗寄生虫作用)
- 細胞の酸素利用を促進。一酸化窒素の適切な調整
- モノアミンオキシダーゼ阻害
- セロトニン再取り込み促進など、神経伝達物質の調節
- アミロイド蛋白の凝集抑制
メチレンブルー治療の参考文献
Ansari MA, Fatima Z, Hameed S. Antifungal Action of Methylene Blue Involves Mitochondrial Dysfunction and Disruption of Redox and Membrane Homeostasis in C. albicans. Open Microbiol J. 2016 Feb 25;10:12-22. メチレンブルーがもたらす抗真菌効果の作用機序
Zheng X, Ma X, Li T, Shi W, Zhang Y. Effect of different drugs and drug combinations on killing stationary phase and biofilms recovered cells of Bartonella henselae in vitro. BMC Microbiol. 2020 Apr 10;20(1):87 メチレンブルーの耐性バルトネラ菌への作用
Li T, Feng J, Xiao S, Shi W, Sullivan D, Zhang Y. Identification of FDA-Approved Drugs with Activity against Stationary Phase Bartonella henselae. Antibiotics (Basel). 2019 Apr 29;8(2):50. バルトネラ菌に感受性のある薬剤比較をした研究論文。メチレンブルー単体またはメチレンブルーとリファンピシンの組み合わせ治療が最も感受性が高かったという内容。
Feng J, Weitner M, Shi W, Zhang S, Sullivan D, Zhang Y. Identification of Additional Anti-Persister Activity against Borrelia burgdorferi from an FDA Drug Library. Antibiotics (Basel). 2015 Sep 16;4(3):397-410. メチレンブルーの耐性ライム病の菌への効果
Hashmi MU, Ahmed R, Mahmoud S, Ahmed K, Bushra NM, Ahmed A, Elwadie B, Madni A, Saad AB, Abdelrahman N. Exploring Methylene Blue and Its Derivatives in Alzheimer’s Treatment: A Comprehensive Review of Randomized Control Trials. Cureus. 2023 Oct 9;15(10):e46732. メチレンブルーのアルツハイマー病への治療応用
Xue H, Thaivalappil A, Cao K. The Potentials of Methylene Blue as an Anti-Aging Drug. Cells. 2021 Dec 1;10(12):3379. メチレンブルーのアンチエイジング効果
Atamna H, Kumar R. Protective role of methylene blue in Alzheimer’s disease via mitochondria and cytochrome c oxidase. J Alzheimers Dis. 2010;20 Suppl 2:S439-52. メチレンブルーのアルツハイマー病への効果