当院のホルモン調整は全身のホルモンを視野に入れて行います。ホルモンは一つの臓器のひとつのホルモンだけで存在、機能しているものではありません。全身のほかのホルモンとの相互作用があり、各ホルモンの受容体があり、その受容体の組織の構造に影響を受け、また、ホルモンの機能をブロックするような存在、自己免疫による抗体が存在すると、それぞれに影響を受けます。 全身のホルモンの相互作用に配慮しながら、弱い部分を調整します。
下記のリストのホルモンに着眼し、全体の調整をします。
ホルモン補充をする場合は、原則天然ホルモン (Bio-Identical Hormone) を採用します。
- エストラジオール
- プロジェステロン
- DHEA デヒドロエピアンドロステロン
- テストステロン
- プレグネノロン
- コルチゾール
- アルドステロン
- 成長ホルモン
- メラトニン
- 甲状腺ホルモン*
- そのほかのホルモンと神経伝達物質
ACTH, LH, FSH, プロラクチン、ジハイドロテストステロン、アロプレグネノロン、アンドロステネジオン、インスリン、レプチン、アディポネクチン、その他セロトニン、アドレナリン、GABA、オキシトシン
*甲状腺機能低下症に関しては、T4からT3の転換酵素の活性が弱い場合、少量のT3(チロナミン®)を追加することがあります。
天然ホルモンについて
天然ホルモンは体内で自分が産生するホルモンと化学構造が完全に一致するもので、薬剤としてホルモン補充療法に利用します。薬剤の体内での代謝による影響と日内変動も考慮し、適切な投与形態を決めます。天然ホルモン補充療法において、自然のホルモンの世界の調和を崩すことなく、まるで体にもともとあるホルモンのように同じ作用をします。
つまりホルモンの世界の自然のハーモニーを乱さず、自然の調和をさらに高め、全身の各ホルモンの長所を引き出します。 天然ホルモンをからだのバイオリズムに合わせて補充すると、弱った部分を穏やかにサポートするので、全身の健康増進に寄与します。
ホルモン治療セット
全身のホルモンマネージメント
全身のホルモンを分析、全身のホルモンバランス、ホルモン同士の相互作用、各ホルモンの機能向上をサポートします。治療開始後6ヶ月~12ヶ月を目安にホルモン調整をします。
女性の更年期・プレ更年期
30歳以上の女性の方に女性ホルモンのバランス分析と調整をします。更年期はホットフラッシュだけではありません。行動に対するモチベーションが下がる、疲れやすい、気分の変調、うつ、太りやすい、下半身の脂肪がつきやすい、性欲の低下、肌荒れ、顔のたるみ、ゆるみ、しわ、眠れないなど症状はさまざまです。
男性の更年期
男性更年期は女性の更年期よりもゆっくり徐々に訪れますのでわかりにくいですが、40歳以上の男性でお心あたりのある方へ分析と調整をします。気分の変調、体型の崩れ、疲労感などを目安にしてください。
妊孕性
妊娠を希望される方、妊娠前のスクリーニングとして、不妊治療が長引いている方へ、卵巣のホルモンだけでなく、妊娠をサポートするホルモンを全身にわたって分析し調整します。
甲状腺のマネージメント
甲状腺ホルモンの分析と調整や、自己免疫抗体の有無により適切に対応します。 *甲状腺機能低下症に関しては、T4からT3の転換酵素の活性が弱い場合、少量のT3(チロナミン®)を追加することがあります。
副腎疲労
副腎はストレス対応と免疫のための重要な内分泌器官です。副腎が疲弊すると、副腎疲労症候群、燃え尽き症候群、また代謝異常などに発展しやすくなります。若さとスタミナにも関わる副腎からのホルモンを分析し調整し、健康を回復するお手伝いをします。副腎疲労が判明したケースは、原因精査も同時に行います。
慢性疲労症候群と線維筋痛症
慢性疲労症候群と線維筋痛症は、ホルモンの機能不全が密接に関連しています。回復をサポートするためホルモン全体の分析と各ホルモンの調整を行います。
アンチエイジング
天然ホルモンは言うまでもなく、美と健康のために欠かせません。内面からの若いオーラ、30代前半の頃の学習力、活力、見た目は天然ホルモン補充が有益です。アンチエイジングに関わる全てのホルモンの分析と調整を行います。
遺伝子多型 SNPs
ホルモン代謝の遺伝子解析を行うこともあります。 天然ホルモン補充療法を1年以上受けられる方やホルモン依存性疾患の病歴がある方に推奨します。ホルモンの転換代謝酵素の遺伝子を把握し、安全で効果的な天然ホルモン補充療法ができます。
ステロイド系ホルモンの代謝
ホルモンは大きく分けると、ステロイド系の性ホルモングループと、そこに属しないアミノ酸系のホルモングループになります。後者はメラトニン、甲状腺、アドレナリン、成長ホルモンなどがあります。 前者はよく知られる女性ホルモンや男性ホルモンが含まれます。まず、この前者のステロイド系グループを紹介したいと思います。原料となるコレステロールから、ステロイド系ホルモンのなかの重鎮の存在のプレグネノロンに転換します。プレグネノロンからどんどん次世代のホルモンを生み出します。プレグネロノンが母となり2世代目の男性ホルモン系、女性ホルモン系、糖質コルチコイド系、アルドステロン系へ枝分かれします。
この表に含まれるホルモンとホルモンの代謝物を分析すると、副腎と性ホルモンを中心に全体像をつかみやすいため、ホルモンバランスの検査に活用することがあります。男女ともに、性ホルモン依存性疾患のリスクや、免疫の状態、副腎疲労を起こす隠れた原因の有無など推測が可能になります。